○安堵町文化財保護条例

平成24年6月14日

条例第12号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 町指定文化財(第4条―第14条)

第3章 町選定保存技術(第15条)

第4章 文化財保護審議会(第16条―第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

安堵町には、歴史が示すとおり多くの文化財が存在する。これらはわが町の文化遺産として基礎となるものであり、これまで保存に努めた先人の思いを次代に伝承することは、安堵町民にとって大切な責務である。

ここに安堵町は、安堵町文化財保護条例を制定し、大切な文化財の保護に努めるものである。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、安堵町(以下「町」という。)内に存する文化財のうち町にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、並びに法第190条第1項及び第3項の規定に基づき、文化財保護審議会を設置するとともにその組織及び運営に関し必要な事項を定め、もって町民の文化的向上に資することを目的とする。

(文化財の定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、法及び奈良県文化財保護条例(昭和52年奈良県条例第26号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの

(4) 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの

(5) 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成され、又は周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している景観地その他歴史及び文化を形成している環境で価値の高いもの

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第3条 安堵町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行にあたっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 町指定文化財

(町指定文化財の指定等)

第4条 教育委員会は、町内にある文化財のうち、町にとって重要なものを第16条に規定する安堵町文化財保護審議会の審議を経て、安堵町指定文化財(以下「町指定文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定にあたっては、教育委員会は、あらかじめ、指定しようとする文化財の所有者、権原に基づく占有者(以下「占有者」という。)又は次項に規定する保持者の同意を得なければならない。ただし、所有者、及び占有者にあっては、判明しない場合は除く。

3 第1項の規定による指定のうち町指定無形文化財の指定にあたっては、当該町指定無形文化財の保持者(以下「保持者」という。)を認定しなければならない。

4 前項の場合には、第1項の規定を準用する。

(告示及び通知並びに指定書及び認定書の交付)

第5条 前条第1項又は第3項の規定による指定又は認定は、その旨を告示するとともに、当該町指定文化財の所有者、占有者又は保持者に通知してする。

2 前条第1項の規定による指定及び同条第3項の規定による認定は、告示があった日からその効力を生じる。

3 教育委員会は、前条第1項の規定による指定をしたときは当該町指定文化財の所有者に指定書を、同条第3項の規定による認定をしたときは当該保持者に認定書を交付しなければならない。

(町指定文化財の指定等の解除)

第6条 教育委員会は、町指定文化財がその価値を失った場合その他特別な理由があるときは、その指定を解除することができる。

2 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合その他特別な理由があるときは、保持者の認定を解除することができる。

3 第1項及び前項の場合には、第4条第1項並びに前条第1項及び第2項の規定を準用する。

4 町指定文化財又は保持者について、法又は県条例に基づく重要文化財若しくは県指定文化財の指定又は保持者の認定を受けたときは、当該町指定文化財の指定又は保持者の認定は、解除されたものとする。

5 第1項第2項又は第4項の規定により、町指定文化財の指定又は保持者の認定の解除を受け又は解除されたこととなったときは、所有者又は保持者は、速やかに、町指定文化財の指定書又は認定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者等の管理義務)

第7条 町指定文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定文化財を管理しなければならない。

2 町指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己にかわり当該町指定文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、町指定文化財の所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者等の届出義務)

第8条 次の各号の一に該当するときは、所有者、管理責任者又は保持者は、速やかに、指定書又は認定書を添えて、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

(1) 所有者が変更したとき。

(2) 所有者、管理責任者又は保持者がその氏名若しくは名称又は住所を変更したとき。

(3) 町指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

(4) 町指定文化財の所在する場所を変更しようとするとき。

(5) 指定地域内の土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったとき。

(修理)

第9条 町指定文化財を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第12条の規定により許可を受けなければならない場合その他教育委員会規則で定める場合は、この限りでない。

(管理又は修理の補助)

第10条 町指定文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、町指定文化財の所有者がその負担に耐えない場合その他特別な事情がある場合には、町は、その経費の一部に充てさせるため、町指定文化財の所有者に対し補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合においては、条件を付することができる。

3 教育委員会は、第1項の補助金を受ける所有者に対し、当該補助に係る管理又は修理に関し、必要な事項を指示することができる。

(管理又は修理に関する勧告)

第11条 町指定文化財の管理が適当でないため、当該町指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 町指定文化財がき損している場合において、その保存のために必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 前項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理に要する費用は、予算の範囲内で、その全部又は一部を町の負担とすることができる。

4 前項の規定により町が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第2項及び第3項の規定を準用する。

(現状変更等の制限)

第12条 町指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合その他教育委員会規則で定める場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において必要と認めるときは、条件を付し、又は必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

(公開)

第13条 町又は教育委員会は、町指定文化財の所有者に対し、一定の期間を限って、町又は教育委員会が行う公開の用に供するため当該町指定文化財を出品することを求めることができる。

2 前項の規定による出品又は公開に要する費用は、その全部又は一部を町の負担とすることができる。

3 第1項の規定により出品又は公開したことに起因して当該町指定文化財が滅失し、又はき損したときは、町は、所有者に対し、その通常生ずべき損失を補償するものとする。ただし、所有者又は管理責任者の責に帰すべき事由によって滅失し、又はき損したときは、この限りでない。

(保存のための確認又は調査)

第14条 教育委員会は、必要があると認めるときは、町指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該町指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

2 教育委員会は、前項の報告がない場合又は報告によってもなお町指定文化財に関する状況を確認することができず、かつその確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、所有者又は管理責任者の同意を得て調査を行うことができる。

第3章 町選定保存技術

(町選定保存技術の選定)

第15条 教育委員会は、安堵町内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもののうち町として保存の措置を講ずる必要があるものを次条に規定する安堵町文化財保護審議会の審議を経て、安堵町選定保存技術(以下「町選定保存技術」という。)に選定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による選定にあたっては、当該町選定保存技術の保持者又は保存団体(町選定保存技術を保存することを目的とする団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 教育委員会は、前項の規定による認定をしたときは、当該町選定保存技術の保持者又は保存団体に認定書を交付しなければならない。

4 第1項の選定及び第2項の認定にあたっては、第5条第1項及び第2項の規定を準用する。

第4章 文化財保護審議会

(審議会の設置)

第16条 教育委員会の諮問に応じ、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、並びにこれらの事項に関し教育委員会に建議するため、教育委員会に安堵町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(審議会の組織)

第17条 審議会は、委員10名以内で組織する。

2 委員は、文化財に関し識見を有する者その他適当と認められる者から、教育委員会が委嘱する。

(任期)

第18条 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任を妨げない。

(会長及び副会長)

第19条 審議会に会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。

3 会長は、会務を総理する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(会議)

第20条 審議会の会議は、会長が招集する。

2 会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するところによる。

第5章 雑則

(その他)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成24年7月1日から施行する。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和43年安堵村条例第2号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

安堵町文化財保護条例

平成24年6月14日 条例第12号

(平成24年7月1日施行)

体系情報
第7編 育/第3章 社会教育
沿革情報
平成24年6月14日 条例第12号